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税務上、みなし配当と言われる制度があります。これは、本来は配当ではないものについて、配当として税金を課税する制度を言います。典型例は、非上場会社に対する自己株式の譲渡です。株主が非上場会社に自己株式を譲渡した場合、本来なら譲渡所得が課税されますが、一部みなし配当に該当し、配当所得として税金が課税されることがあります。

ご存知の方も多いと思いますが、相続税の課税最低限を大幅に減らすなど、相続税の大増税が平成27年からスタートしています。この大増税について、知っておくと都合がいい対策として、相続税の取得費加算とみなし配当課税の特例があります。

法人については、法人税だけではなく、法人住民税もかかります。この法人住民税ですが、法人税に対して課される法人税割と、資本金等の額に応じて課される均等割からなります。
法人税は、黒字の場合にしか発生しませんので、赤字会社であれば、法人税や法人税割はかかりませんが、均等割は資本金等の額という利益に関係ない金額に応じて課税されますので、赤字会社でも法人住民税がかかることになります。

少し前の話ですが、悪質な消費税逃れとして、自販機スキームというものがありました。これは、住宅用マンションを建築するような場合に用いる節税で、建築年度は自販機の手数料だけ売上を計上することとし、それ以外の事業年度で居住用賃料を計上するということとすれば、本来は大きく制限される消費税の還付金が満額戻ってくる、というあり得ないスキームです。
こんなことはあってはならない、ということで、自販機スキームには平成22年度改正でブロックがかかりました。ただし、そのブロックには大きな穴があった、と言われています。

国税という組織において、出世を考える場合には、国税局の主務課という部署に行くことが近道と言われています。主務課とは、法人税の担当であれば「法人課税課」といったように、担当する税目が部署名となった課をいいます。
主務課の仕事は、法人課税課であれば、税務署の法人税部門に指示をしたり、法人税部門の事務のマニュアルを作成したりするなど、すべての税務署の法人税部門を統率することにあります。

日本経済を支えるサラリーマンの節税は非常に難しい。このような話を聞いたことがある方も多いと思います。サラリーマンに対しては、確実に税金を取るため、厳しい源泉徴収がなされるとともに、原則として経費を認めないという仕組みが取られています。
原則として経費を認めない、という意味は、実際に支払った経費を認めないということです。サラリーマンの給料については、年収に応じた概算経費である給与所得控除が認められています。給与所得控除は、一定の金額ですから、経費を広く解釈して節税する、といった個人事業主や法人の節税は原則として活用できないのです。
その例外ですが、特定支出控除という制度が設けられています。

平成28年度税制改正では、セルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること)の充実を図るという政策目的から、医療費控除の特例として、スイッチOTC医薬品の購入金額について、所定の要件を満たす場合、所得控除を受けられるという制度が創設されました。
OTCとは(Over The Counter)の略であり、薬局のカウンター越しに売られる市販薬がこれに該当します。医師の判断でしか使用できなかった医薬品を、薬局で買えるようにしたのがスイッチOTC医薬品であり、この購入金額について所得控除を認めるというのが本制度です。

最近の税務調査では、「このような取扱いは、過去からやっていますので、税金がかかります」であるとか、「全税務署でこのような取扱いをしていますので、何と言われましても税金はかかります」といった、行政の統一性を盾にして、納税者との交渉を打ち切ろうとする調査官が見られます。
この点、税理士の中にも「もう税務署は聞く耳を持ってくれない」と早合点される方が多く見られますが、私の経験談から申しますと、過去からやっているであるとか、全税務署でやっているなど、こんな話を税務署の調査官は基本知らないですから、非常に信ぴょう性の薄い話と思っています。
事実、このような指導を受けた納税者や税理士が、税務調査の交渉を頑張った結果、後日許された、という話は枚挙にいとまがありません。

平成28年度税制改正では、不正常習者に対するペナルティーを強化するという観点から、過去5年以内に重加算税を課税された納税者について、同様に不正行為があれば、その際に課される重加算税を10%上乗せするという改正が実現しています。
調査官の経験を申しますと、不正行為を行う納税者は、喉元過ぎれば熱さを忘れるで同様の不正行為を行うケースが多いですので、このような改正も必要になると考えています。
この改正は、平成29年1月1日以後に申告期限が到来する税について適用されます。

平成28年度税制改正では、税務調査の予告があってから、実際に税務調査がなされる前までに修正申告を出しても、加算税が原則として5%課税されることになりました。従来は、このような修正申告であれば、加算税はかからないとしていましたが、国税の考えによると、予告をしてから実際の税務調査前までに修正申告をして加算税を逃れるという悪質な行為を許さない、という本音があり、今回改正に至ったようです。この改正は、平成29年1月1日以後に申告期限が到来する税について適用されます。

先日、電子メールも税務調査の対象になりうる、と申しましたが、この点に関連して、取引先と秘密保持契約を結んでいるような場合には、メールの開示を拒否できる、といった趣旨の記述も見られます。税務調査で調査官が配慮してくれることもありますが、この点建前としては守秘義務を目的に、調査官のチェックを断ることは、法律上は無理とされていますので、注意しなければなりません。
実際のところ、国税庁が公表しているFAQによれば、「業務上の秘密に関する帳簿書類等であっても~法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものです。調査担当者には調査を通じて知った秘密を漏らしてはならない義務が課されていますので、調査へのご協力をお願いします。」と説明されています。

先日、ヤフーの組織再編成が合法か否か争われ、国が勝訴した事例があります。この事例においては、その組織再編成が租税回避的なものかどうかが問題になりましたが、国税にとって有利な証拠として、節税を匂わす電子メールの存在があったと言われています。
日々のやり取りの中で、電子メールはコミュニケーションの内容が確実に記録に残ることもあり、安易な節税や脱税を見つけようとする調査官にとっては、税務調査において確実にチェックすべき内容になっているようで、日々のやりとりには注意する必要があると考えられます。

不正取引に対しては重加算税がかかる、という話はよく知られていますが、単純なミスでも重加算税がかかるとされる間違いがあります。売上の脱ろうというミスです。
売上の脱ろうとは、ある事業年度において計上を忘れた売上につき、翌年度でも売上に計上されない、というミスをいいます。税務調査では、売上を計上すべき年度を間違える、というミスがよく見られますが、このミスであれば翌年度には売上として計上されます。いわゆる、期ずれというミスです。
売上の脱ろうは、期ずれとは異なり、翌年度でも売上に計上されないため見つからなければ永久に売上に計上されない可能性があります。このようなミスであれば、重加算税の対象になると、国税の通達に明確に書かれてあります。

法人税の世界では、経費となる要件として、債務確定基準が設けられています。債務確定基準とは、各事業年度の末日までに、支払うべき債務が確定したものだけが経費になる、という考え方です。
例えば、広告宣伝などで業者に前渡金を払っても、それを払うだけでは経費になりません。実際に広告宣伝をしてもらっていないので、仮に業者が広告宣伝を行わなければ、その前渡金は不当に業者がお金を得たとして、取り返すことができるからです。一方で、業者がすでに広告宣伝をしたのであれば、お金を払わないとは言えませんので、債務が確定したと言えます。
債務とはすなわち借金ですので、相手からお金を請求されても断れない状況に至った段階で経費になる、というのが債務確定基準の考え方です。

消費税の納税義務は、原則として前々期の消費税がかかる売上が1千万円超であるかどうかで判断しますが、納税義務があるかどうか、それは当期だけでなく、翌期も見る必要があります。というのも、当期は納税義務があり、翌期は納税義務が免除される場合には、特殊な計算をしなければならないからです。

簡易課税など、消費税の一定の特例を受ける場合には、その受けようとする年度の前までに、所定の届出書を税務署に提出する必要があります。この届出書一枚で税金が大きく変わりますが、困ったことに適用を受けようとする年度の前までにその届出書を出し忘れる、という凡ミスが非常に多いのです。
このようなミスがあった場合の最終手段として、課税期間特例という制度があります。

前回、給与と外注費の区分は5つの要件を総合的に見て判断すると申し上げましたが、調査官の立場に立てば、最も攻めやすいのは材料又は用具等の供与です。これは、形にはっきりと残りますので、納税者を説得することが簡単だからです。実務上は、名刺の支給やロッカーの支給からネチネチ調査官が攻めることが多いと言われます。

このため、外注費として処理するのであれば、材料や用具等の供与をしてはいけません。

消費税の税務調査で必ず問題になるポイントの一つに、給与と外注費の区分というものがあります。サラリーマンがもらう給料を考えていただくと分かる通り、お給料には消費税が課税されません。消費税が課税されないということは、給料を支払う会社にとっては、会社の消費税の計算上、お給料は経費にならないということを意味します。
一方で、外注費の場合、消費税が課税されますので支払う会社にとっては消費税の計算上経費として見ていいことになります。このため、会社にとっては給料として支払うよりも、外注費として支払った方が都合がいいという結論になります。
ここで問題になるのは、本来お給料となるものを外注費として申告する、という事例が非常に多いことです。

前回、譲渡所得の計算上控除できる取得費について、証明ができなくても5%の概算取得費ではなく合理的な金額とされる金額を差し引くことができるとした事例があると解説しました。
この事例では、土地の取得費が問題になりましたが、契約書などの証明資料がない以上、市街地価格指数という土地の指標を用いて、合理的に取得費を計算せざるを得ないとして、その計算した金額を差し引いています。
なお、このような計算については、こちらでも認められると解説されています。

不動産などを個人で売却した場合、譲渡所得として所得税が課税されます。この譲渡所得は、以下の算式で計算されます。
収入金額(売った金額)-取得費(売却した資産の購入金額)-譲渡費用(土地等を売るときに発生する仲介手数料など)
譲渡費用や収入金額は、売った段階で計算できますが、取得費は過去に支出した金額ですので、わからないことがあります。このような場合に使われるのが、概算取得費という制度です。