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税務上、取引は時価で行わなければならないとされていますので、取引する資産の時価が往々にして問題になります。この典型例が非上場株式で、相場がないため時価が分からず、結局のところは税務の通達を準用して時価を計算することとしています。
しかしながら、時価を計算するのも大変です。ここでいう時価について、「純然たる第三者間取引」という考え方があります。純然たる第三者間取引とは、利害関係のない第三者間取引を意味します。

住宅の購入に際し、ローンを組むことは多いですが、実務上ローンは夫婦や親子で連帯債務とすることも多いです。連帯債務でローンを組んだ場合、注意したいのはローンの借換えに際し、連帯債務から単独債務にする場合です。この場合、場合によっては贈与税のリスクがあります。

投資家が株式会社などの法人を使って事業を行う場合、法人に法人税が課税され、かつその法人が支払う配当についても原則として所得税の課税対象になります。この二重課税の問題があるため、事業内容によっては法人ではなく組合で事業を行う場合があります。組合は投資家が組合員として契約を結び、半ば共同で事業を行うような事業形態です。組合は法人格がありませんので、法人税はかかりません。
よく使われる組合の一つに、匿名組合があります。匿名組合は営業者と言われるビジネスを行う者と組合員が契約を結び、組合員がお金を出資する一方で、営業者がビジネスを行い、その利益を組合員に分配することになります。
組合で面白いのは、利益だけでなく損失も分配できるという点です。営業者がビジネスで損をだした場合、その損失についても組合員に分配されます。利益が出なければ分配できない会社の配当とは大きな違いがあります。

実務上、往々にして問題になることの一つに、非上場株式を譲渡する場合の、時価算定があります。税務上、取引は時価で行わなければなりませんので、非上場株式を売る場合も時価で売却する必要があります。しかし、非上場株式は相場がないため、別途評価しなければなりません。
この点、税務上の通達では、譲渡における非上場株式の評価について、相続税における非上場株式の評価を準用して算定することが出来るとされています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、営業の自粛等による売上の著しい減少のため、固定費である家賃の負担が大きな問題になっていました。この点を踏まえ、7月の中旬より、2020年7月14日から2021年1月15日までを申請の期限とした上で、地代・家賃の負担を軽減するための「家賃支援給付金」が交付されることになりました。以下では、この家賃支援給付金について、概要を解説します。

近年、個人や法人の資金調達手段として一般的になってきたことの一つに、クラウドファンディングがあります。このクラウドファンディングは、大きく投資型と非投資型に分かれ、非投資型は寄附型と購入型に大きく分かれます。
寄附型は一定のプロジェクトに対し、寄附を募るというクラウドファンディングで、購入型は支援者にモノやサービスをリターンとして与えるクラウドファンディングです。
以下では、よく使われる非投資型について、寄附型と購入型に分け、その課税関係を見ていきたいと思います。

税務上、役員退職金の適正額は平均功績倍率法で計算するのが通例です。平均功績倍率法は、最終報酬月額、勤続年数、そして平均功績倍率を掛け合わせた金額を適正額とする方法です。ここで問題になるのは、平均功績倍率です。
平均功績倍率とは、同業類似法人の同程度の役員の退職金の支給額から計算される倍率を言いますが、このような倍率がいくらになるか、納税者には分かりません。一昔前は、2・0~3・0程度としておけば原則として問題ないとされていましたが、最近は厳しい判断がなされることも増えています。

区分マンションに係る不動産所得の申告において、経費になるか問題になる支出の一つに、修繕積立金があります。修繕積立金は、マンションの共有部分に、将来発生すると予想される大規模修繕に備えて、積立が要請されるものです。
ここで問題になるのは、修繕などのサービスに関する経費は、サービスを受けたタイミングで経費になるという大原則があるということです。すなわち、実際に修繕などが実行されない限り、修繕費は経費になりません。
修繕積立金は、あくまでも将来の修繕に備えるものですので、修繕が行われるまで経費にならないというのが大原則なのです。

税務署の実務でよく見られることの一つに、取下書があります。税務署に対して申告書を提出したり所定の届出書や申請書を出したりすることがありますが、様式や内容を間違ってしまうなど、これらの提出をなかったことにしたい場合があります。このような場合、取下書を出すことで、先の提出等の効力をなかったことにすることができる場合があります。

有効な節税として知られている足場レンタルは、前回も申しましたが個人が自分の所得税を節税するために投資するのは問題があります。一方で、法人が法人税を削減するために投資を行うのは原則として問題なく、節税効果があります。
しかし、とある保守的な税理士によると、法人で足場レンタルを行うことも、個人と同様にリスクがあるということです。

令和2年度の税制改正で、海外中古不動産を使った節税ができないことになりました。近年の税制改正の傾向として、企業を誘致する必要性から法人税を減らし、所得税を増税するという流れですので、今後ますます個人の節税は厳しくなります。
このため、個人で高い給料をもらっている富裕層の節税ニーズが大きくなっている訳ですが、そのニーズを満たすと言われる商品の一つに、足場レンタルがあります。

所得税において、住宅が絡む優遇措置として、大変効果があると言われているのが住宅ローン控除と居住用財産の特例です。住宅ローン控除は、新しい住居をローンで購入したような場合に認められる特別減税で、居住用財産の特例は、居住していた住居を売却した場合、譲渡所得から最大3千万円控除できるなど、居住用財産を売る際に認められる特別措置です。
これらの特例は、それぞれ高い効果がある住宅に関連する税制ですので、両方を二重に使うことは原則できないとされています。

近年、サラリーマンが副業を行うことが増えましたが、この副業は所得税では、原則として雑所得に該当します。所得税は、収入の性質に応じ、課税対象なる所得を10種類(利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、退職所得、事業所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得)に分けた上、この10種類の所得それぞれに異なる計算を行うこととされています。雑所得はその一つで、収入から経費を差し引いて所得の金額を計算します。

税理士には大きく二つの人種があり、一つは机上の税理士試験を合格した税理士(試験組税理士)と、もう一つは国税組織の中で、23年間無事故で過ごせば無制限で資格が免除される税理士(OB税理士)です。税理士を選ぶ際は、この相違を理解しておく必要があります。というのも、両者ができることは全く異なるからです。

海外子会社を使った節税として、よく見られることの一つに、キャプティブがあります。キャプティブとは、保険子会社を意味します。災害など、企業のリスクをヘッジするために損害保険を保険会社と契約する企業は多いですが、キャプティブを活用する場合、海外にその保険会社と契約した企業(親会社)が、再保険会社である子会社を設立します。
先の保険会社は、この再保険会社(子会社)に親会社がかけた保険を再保険します。その上で、子会社は再保険をまた海外の保険会社に再々保険します。このようにすることで、企業のリスクを分散させながら、子会社に再保険料と再々保険料の差額の利益を留保させることができます。
すなわち、リスクの一部は自社グループに残るものの、保険料の一部をグループ会社に残すことができるのがキャプティブなのです。

税務上適正額が問題になる役員の退職金については、平均功績倍率法で算定するのが一般的です。平均功績倍率法は、(1)退職する役員の最終報酬月額、(2)勤続年数、(3)の平均功績倍率の3つを掛け合わせた金額を退職金の適正額とする方法です。
この計算上問題になるのは、(3)です。(1)と(2)は数字が明確ですが、(3)のは平均の倍率と言われても明確な指標がありませんので、何倍にしたらいいのかよく分かりません。この平均功績倍率について、従来言われていたことは、取締役クラスであれば原則として3.0までなら問題がないということでした。とある判例で、「社長3・0、専務2・4、常務2・2、平取締役1・8、監査役1・6」と、社長についてこの倍率が示されたことがその根拠となっています。

平成23年の税制改正により、税務調査に関する手続きが法律に規定されることになりました。この手続きのうち、最も実務で問題になるのは、税務署が税務調査前に原則として行うとされる事前通知です。この事前通知の規定により、不意打ち的に調査されて納税者に迷惑をかけることがないよう、税務調査の実施日や場所はもちろん、税務調査で確認する資料や、税務調査の対象になる事業年度などについても通知することが国税に義務付けられています。ただし、この事前通知の義務は、それほど実効性があるものでないことに注意が必要です。

先日、ZOZOの創業者の前澤友作氏の資産管理会社の税務調査事例が報道されました。この報道では、資産管理会社が保有するプライベートジェットについて、前澤氏から使用料を徴収するべきだったのに徴収していない、という名目で5億円近い課税もれを東京国税局から指摘された、ということです。
これだけ聞くと、かなり多額の申告漏れで悪質性があると判断する方もいらっしゃると思いますが、金額は別にして、このような課税もれは税務調査ではよく目にするものです。

新型コロナウイルスの影響で、現状税務調査が自粛されていますが、すでにアフターコロナの税務調査がどうなるか、専門家の間では話題になっています。その議論の一つとして、とある税務雑誌で取り上げられていたのはテレワークとの関連です。

事故にあった従業員に対し、雇い主である法人が支給する見舞金は原則として所得税が課税されません。原則として、と申しましたが、それは「社会通念上相当と認められる」見舞金が非課税とされるからです。言い換えれば、見舞金として金額が大きすぎるものは給与と変わらないため、所得税が課税されます。
加えて、原則として見舞金に課税がないとしても、それを支給する法人としては、かなり神経を使います。というのも、税務上従業員に対して金銭を交付すると、原則として給与となり課税されるからです。
困ったことに、金額が大きすぎればアウト、適正であればOKとなる訳ですが、この適正な金額に基準がないため、本当に問題ないのか、頭を悩ませます。