「この問題は金額の小さいミスなので、指導事項に留めます」
税務調査において、調査官からこのように言われた経験がある方は多いと思います。本来、税務調査で発見したミスはすべからく是正する必要がありますが、金額が小さいミスまで是正するとなると、調査官も税務調査を受ける会社も手間がかかる割に実益に乏しいため、敢えて是正しないという処理が認められています。
この処理を少額不徴収といい、税務調査では広く使われています。
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実際に退職していなくとも、実質的な退職があったとして認められる分掌変更に伴う退職金については、分掌変更した後でも経営上主要な地位を占める役員については認められないという取扱いになっています。この経営上主要な地位という用語について、実務上問題になることの一つに、会社に対する支配権を意味する株式数があります。
ほとんどの中小企業は、役員(社長)が会社の株式のほとんどを握っている同族会社です。このようなオーナー社長は、会長に分掌変更をしても、会社の支配権のほとんどを握っていることになりますから、会長になった後の業務内容に関係なく、経営上主要な地位を占めていると判断される可能性が大きいと言われています。
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役員が取締役から監査役になるなど、その業務が激変したため退職と同様の事情があると認められれば、分掌変更に伴う退職金が認められます。この退職金は、実際に退職していないものの、実質的に退職したと同視できることから認められたものであり、中小企業の節税として広く使われています。
この分掌変更に伴う退職金の要件ですが、国税庁の通達によると、原則として以下の3つの場合について認められるとしています。
(1)常勤役員が非常勤役員になった場合
(2)取締役が監査役になった場合
(3)分掌変更の後の役員の給与がおおむね50%以上減少したこと
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非常に魅力的なふるさと納税の返戻品ですが、これについても所得税の課税の対象になりますので注意が必要です。具体的には、返戻品を時価評価して、一時所得として課税されることになります。
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サラリーマンでも有効な節税手段の一つに、ふるさと納税があります。ふるさと納税は寄附金控除の一つとして所得税の控除の対象となりますが、それ以上に魅力的なものとして、返戻品として特典や特産物ももらえます。
このふるさと納税について、平成27年4月から、確定申告せずとも控除が受けられるワンストップ特例がスタートしています。
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最近の税務調査では質問応答記録書という仰々しい書類が作られることが多いのですが、調査官としてもこのような資料を作るとなると大変ですので、国税の内規では、質問応答記録書を作成すべき場合が明確に定められています。
具体的には、国税が税金を課税するための客観的な証拠が乏しい場合や、不正の意思が問題になるなど、そもそも客観的な証拠が存在しないような場合がこれに当たります。
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平成25年からスタートした税務調査手続きの法制化という制度の影響もあって、現在の税務調査では質問応答記録書という資料が調査官によってよく作られるようになりました。この書類は、納税者から聴き取りをした内容をまとめた資料で、原則として調査官と納税者のQ&A形式で作られます。
質問応答記録書を作成するのは、納税者の供述を課税の根拠とするためです。実際のところ、質問応答記録書は刑事事件における取調調書と同じような意味合いを持っており、裁判などで証拠として採用されます。
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前回も申し上げた通り、スキャナ保存については、平成27年度税制改正で大きく緩和されましたが、平成28年度税制改正においても、引き続き大きな規制緩和がなされています。その典型として、領収書などのスキャナ保存について、デジタルカメラやスマートフォン等による撮影も可能とされた改正があります。従来は、スキャナ装置について、原稿台と一体となったものに限定することとされていましたので、デジタルカメラやスマートフォンなど、持ち運び可能な装置は対象にならないとされていました。
しかし、今後はこれらでスキャンすることができますので、領収証を受領した者はスマホの写真機能を使って、いつでも、どこでも、電子化して社内のパソコン等に転送し経費精算をするなどといったことも可能となると言われています。
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平成27年度と平成28年度の税制改正により、税務上保存すべき資料について、スキャンして保存できるというスキャナ保存制度が大きく改正されています。スキャナ保存は、従来から認められていたものですが、偽造や改ざんにつながる可能性が懸念され、非常に厳格な取扱いとなっていました。その取扱いが大幅に緩和されましたので、今後は利用が進むと考えられています。
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税務上、繰延資産という資産があります。これは、支出の効果が1年以上に及ぶと認められる一定の費用をいいます。費用ですので、車などの固定資産とは異なり、会社には現物の資産としては残りませんが、効果が1年以上に及びますので、その効果が及ぶ期間に応じて少しずつ費用とするために、便宜上、会社の資産として計上することになっています。
少しずつ費用とする、という点からわかる通り、お金を払っても一時の経費にはなりませんので注意が必要です。
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個人事業主で行っていたビジネスが大きくなると、節税やリスクヘッジのために事業の形態について、会社を設立するなどして法人にする必要が生じます。すなわち、法人成りということですが、法人成りをして個人事業で使っていた資産を法人に移す場合、法人に資産を売却したとして譲渡所得の課税問題が生じます。
なお、事業用の資産を売ったとして取り扱われますので、消費税の納税義務があるのであれば、その資産の売却に対し、消費税の問題も生じます。
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子会社が経営危機に瀕したため、親会社に債権放棄を求める、といった再建計画は非常に多いですが、このような再建をする場合の債権放棄についても、法人税には厳しい要件があります。安易に債権放棄をすると、その免除した金額についてその一部が経費にならない寄附金として国税から課税されることがあります。
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先日、パナマ文書の問題が大きく報道されました。この文書により、多くの富裕層がタックスヘイブンを利用していることが明らかになったわけですが、その中で「きちんと日本で申告しているから問題がない」といった某大企業のコメントがありました。
日本の制度上、タックスヘイブンに子会社を持つ会社については、一定の要件を満たす場合、そのタックスヘイブン子会社の所得を日本の親会社の所得に合算して申告する必要があります。
このため、タックスヘイブンを利用しても、日本で申告をしていれば課税逃れを行っていないのだから問題がない、ということをこの企業は言いたいと考えられます。
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税務調査を複数回受けている会社であればイメージできると思いますが、3年前の税務調査の時に何も問題にならなかった処理について、その後の税務調査で問題にされることがあります。前回は許されたのになぜ今回は許されないのか、といった疑問を持たれる方も多いと思いますが、社会常識の問題は別にして、国税としては全く問題がないと考えています。
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法人税は貸倒損失に非常に厳しいのですが、その中で最も簡単に認められる貸倒損失として、形式上の貸し倒れというものがあります。
形式上の貸倒れは、以下の2つの要件を満たす債権についてだけ認められます。
(1) 売掛金、受取手形などの売掛債権→貸付金などについては認められません。
(2) 継続的な取引のある取引先に対する債権→固定資産を譲渡した場合の未収金など、単発的な取引先への債権については認められません。
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先日の読売新聞に掲載されていた記事ですが、元国税のOB税理士が代表を務める税理士法人が脱税を行っていたため、税理士法違反による懲戒処分を逃れる目的で、その法人を解散し、同名の別法人を同じスタッフで作ったという事案があったようです。
別法人を作ったからと言って、実態としては同じ法人ですから、当然に処罰されるべきですが、現在の税理士法では、その処罰ができないというあり得ない現実があるようです。
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資金繰りの都合上、中小企業においては、粉飾決算をする会社も見られます。会社の利益をかさ上げすることが粉飾決算ですが、税務調査において粉飾決算がある場合、調査官は残念な気持ちになります。
この理由は、売上の計上もれなど、利益がアップする間違いを発見するために税務調査が行われるからです。粉飾決算であれば、もともと利益をかさ上げしていますので、調査官が見つけたい利益を大きくする誤りが見込めないことが非常に多いですから、調査官としては残念に思います。
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消費税の計算上、注意すべき取扱いとして、95%ルールがあります。これは、土地の譲渡など、消費税が非課税とされる売上が、全売上の5%を超える場合、消費税の控除が制限されることをいいます。消費税は、売上に対する消費税から、仕入先などに支払った経費に対する消費税を控除して計算されますが、95%ルールの適用があると、支払った経費に対する消費税の一部について、消費税の控除が制限されます。
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債権が法律上切り捨てられた場合には、その切り捨てられた債権について、貸倒損失が認められます。法律上切り捨てられた、という要件については、法人税の通達において、以下のいずれかの場合を言うとされています。
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