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個人で株を譲渡した場合、譲渡所得の課税が生じますが、その譲渡所得の計算は、譲渡による収入金額から譲渡した株式の取得費などを控除して計算します。取得費とは文字通り株を取得した金額を言いますが、例えば同じ銘柄の株式を二回に分けて取得するような場合、別途計算が必要になります。

最近、持続化給付金を詐取したというニュースを多数目にするようになりました。持続化給付金については、経済産業省の審査の甘さもあって、このような問題が生じることは当然予想された訳ですが、残念なことにその予想が正しかったことが明確になったようです。
とりわけ、非常に恥ずかしい話ですが、同業者である税理士がこのような持続化補助金の詐欺にかかわっている、というニュースも見られるようになりました。仮にこのようなニュースが正しければですが、国から資格をもらっておきながら、国難を利用する税理士を絶対に許すことはできません。

去る9月3日、税務の専門家にとって驚くべき判決がなされました。この判決、現在大きな問題になっている販売用マンションの消費税の取扱いに関するもので、ADW社が提訴しているものです。販売用マンションの消費税について、数年ほど前から国税は従来の見解を改め、その消費税の全額を控除することはできないと指摘し、多くの税金を追徴してきました。
このような課税を不当として、ムゲンエステート社が訴訟を起こしていますが、その裁判では現状国税が勝訴しています。にもかかわらず、ADW社については東京地裁で国側敗訴と180度異なる判断となっている訳で、大きな注目を集めています。

実務でよく見るファイナンス・リースについては、税務においてはリース資産の引渡しの際に資産の売買があったとして処理されることが原則です。ファイナンス・リースは、①解約不能か、解約するにしてもリース資産の金額に相当する膨大の違約金が必要になるため、実質的に解約できないものであり、②修繕等のコストを賃借人が負担するため、実質的に売買と変わらないことからこのような取扱いになっています。
ただし、このような売買とされるリース取引(税務上のリース取引)のうち、リース資産をリース期間の終了時にリース会社に返還すべきもの(所有権移転外リース)は、その例外として売買ではなく資産の賃貸借として処理することも認められます。
これらの取扱いは、消費税においても同様で、売買とされるリース取引はリース資産の引渡し時に、支払うべきリース料の総額に対する消費税の控除を受けることを原則としつつ、所有権移転外リースについては、賃貸借としてリース料の支払い時に、支払うべきリース料の金額で消費税の控除を受けることもできます。

前回、債務者である会社が通常清算をした場合、寄附金課税のリスクがあると解説しました。今回はこの寄附金課税について、解説します。
一般的に、寄附金とは「対価性のない支出」を意味すると言われます。対価性がない、すなわち自分に見返りのない支出をしても、それは経費とは言えないという考え方から、税務上寄附金については経費性が制限されています。
この寄附金の代表例に債権放棄があります。債権を放棄しても自社に明確な見返りはないことから、債権放棄は原則として寄附金に当たるとされているのです。

会社を清算する場合、借金を返済してから清算する必要があるため、債務超過の会社は通常の方法による清算(通常清算)ができないこととなります。このような会社が清算するためには、「特別清算」や破産などを行う必要があります。
この特別清算は、裁判所に申し出て行う清算で、いわば裁判所の監督の下で行う清算です。特別清算については、協定型と和解型の二種類があります。協定型は清算しようとする会社の債権者が協定を行った上で清算する方法であり、和解型は個別に債権者と交渉して個別の和解をもって清算する方法を言います。

所得税においては、居住者と非居住者の区分が重要になります。前者は全世界の所得に対して課税される納税者をいい、原則として国内に住所を有する者がこれに当たります。後者は日本国内に源泉がある所得(日本で働いた給与所得など)についてだけ課税される納税者で、原則として国内に住所を有しない者がこれに当たります。ご覧いただくと分かります通り、ここで重要なのは、国内に住所があるか、その住所の判定です。

未曽有の国難である新型コロナウイルスに対する税制措置として、やむを得ない事情がある場合、申告期限の延長が認められています。国税庁の資料によると、法人税の場合、感染拡大防止のため在宅勤務等をしている方がいるような場合がこのやむを得ない事情に当たり、これらの事情がなくなるまで、申告期限の延長が認められるとされています。
この制度ですが、申告期限だけでなく、届出書の提出期限についても認められるとされており、結果として税務署に所定の期限までに届け出る書類についても、提出期限の延長が認められます。

実務上、債権の回収ができない場合、その債権について貸倒損失として経費計上するかどうかの検討が必要になります。税務上、貸倒損失の計上は非常に厳しく、3つの場合しか計上が認められません。詳細は、国税庁ホームページをご参照ください。このうち、よく使われるものが形式上の貸倒れといわれるものです。これは継続的な取引がある売上先の売掛債権などについて認められるもので、最後の取引があってから1年以上経過したものなどについて、回収ができないとして、貸倒損失の計上を認めるものです。

個人が友人などにお金を貸して、利息を付して返済を受ける場合、当然のことながらその利息部分については所得税の対象になります。所得税は給与所得や配当所得といった形で、所得をその原因ごとに10種類に区分しますが、その中に利子所得というものがあります。貸付金の利息も利子なので利子所得と思われるでしょうが、利子所得には当たりません。
結論を申しますと、貸付金の利息は、貸金業などのようにそれを事業として行えば事業所得となり、そうでなければ雑所得に該当します。利子所得に該当しないのは、利子所得は預金利息など源泉徴収の対象になる利子を意味するからで、貸付金の利息に源泉徴収は不要となります。

税務上、生活に必要な動産を譲渡しても、譲渡所得税は非課税とされています。ここでいう生活に必要な動産とは、家具や衣服、そして30万円以下の書画などをいうこととされています。生活に必要な動産は、それを売って利益を得ることを目的に購入するのではなく、最低限生活するのに必要であるために購入するもので、そもそも仮に売却しても利益が出ることもほとんどないことなどの理由により、税金を課税しないこととしているのです。
なお、生活に必要な動産の譲渡所得は非課税とされることとの関係上、仮に生活に必要な動産を売って譲渡損が生じたとしても、給与など他の所得と相殺することはできず、切捨てとなります。

個人が土地や建物を他人に貸した賃料については、不動産所得として所得税が課税されます。この不動産所得でよく間違えることの一つに、駐車場があります。所得税の通達によると、利用者に車を停めるスペースを提供しているだけで責任がない場合は不動産所得となるものの、駐車場経営をしていて、駐車場経営者が停めている車を管理し、責任を持つ場合は事業所得または雑所得になるとされています。このような相違が生じるのは、不動産所得は原則として不労所得であるものの、管理責任が生じるものは不労所得とは言い難いからです。

贈与を受けた場合に課税される贈与税については、贈与を受けた年分の贈与税として申告する必要があります。ここで問題になるのは、贈与を受けた日、専門的には贈与税の課税時期です。この課税時期について、通達は以下のように定めています。

税務署には「特官」という身分の職員がいます。この特官にスポットを当てたドラマもありましたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、特官は会社でいえば課長クラスの職員です。一般企業において課長は基本的には決裁者なので、営業活動などせずマネージメントが中心ですが、この特官は営業に当たる「税務調査」を行う課長クラスの職員なのです。

土地や建物などの不動産を取得した場合、不動産取得税や登記に係る登録免許税が課税されます。これらの税金に関し、問題になるのは不動産の取得価額に含めるかどうかです。取得価額に含めるということは支出したタイミングでは経費にならない、ということになり、税負担が大きくなります。
この点、結論から申し上げますと、不動産取得税や登録免許税を経費にして取得価額に含めなかった場合には、その処理が認められるとされています。

税務上、住宅の貸付けは消費税の非課税取引とされていますので、居住用賃貸マンションの賃料についても、消費税は非課税とされます。このため、居住用賃貸マンションを貸す大家の売上は、消費税の非課税売上とされますが、ここで問題になるのは、非課税売上に対応する支出については、消費税の控除が認められないということです。
結果として、居住用の賃貸マンションを建てても消費税が払い損になることがほとんどだったのですが、払い損にならない裏技として、巷で言われていたスキームの一つにサブリーススキームと言われるスキームがありました。

個人である税理士などの士業に報酬を支払う場合、原則としてその報酬に対して源泉徴収が必要になります。この場合に問題になることの一つに、その士業が立て替え、顧客に報酬と別途請求する交通費の実費の取扱いがあります。
実費で報酬ではありませんので、常識的な感覚としては、その交通費部分については源泉徴収の対象にならないと考えがちです。しかし、国税庁の見解としては、その交通費部分も原則として源泉徴収になるとしています。

個人事業主に課税される事業税は、所得税や個人住民税とは異なり、所得税の必要経費として認められます。ただし、必要経費になるタイミングは来年になりますので注意が必要です。事業税は、当年の事業所得などをベースに、来年賦課決定されて納税を求められるわけですが、税金はその決定のタイミングで経費になるのが原則ですので、1年待つ必要があります。

不動産売買の契約書や請負契約に係る契約書など、印紙税が課税される契約書の中には、その記載金額に応じて印紙税の金額が変わるものがあります。ここでいう記載金額とは、原則として契約書に記載される取引金額を意味しますが、中には判断が難しいものがあります。この点、国税の通達に具体例がいくつか記載されていますので、本コラムでいくつか紹介します。

賃借人のいる収益物件を売買する場合、その賃借人からもらっている敷金について、売主(=現在の貸主)と買主(=今後の貸主)の間で、どのように精算を行うべきか問題になります。物件を貸す側からすれば、敷金は賃借人に返すべき借金でもありますので、買主はその債務を引き継ぐことになるため、当然のことながら売却代金に影響を与えます。
この敷金の返還債務については、大阪などでよく見られる関西方式と、東京などでよく見られる関東方式という二つの精算方式があります。