退職後のトラブルで非常に多い、雇用保険未加入問題。雇用保険は、失業時、次の仕事が見つかるまでの生活安定と就職活動の円滑化を狙いとした大事な給付金であり、別名失業保険とも呼ばれている。つまり未加入となると、失業手当が支払われないということになりかねないのである。
事業者には、雇用保険に限らず、労働者の最低限の保障となっている労災や社会保険への原則加入する義務がある。しかし、社会問題化しているブラック企業の中には、採用面接時に保険に加入できない旨を告げて、それでも働く気があるかどうかの意思確認を行っているところもあるようだ。つまり、加入しないのは本人の意思であり、事業者としての責任を回避しようとしているのだろう。
今回はこれらの問題について飛渡貴之弁護士に伺ってみた。
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今国会で労働者派遣法改正案が衆院を通過した。賛否両論あるが、正式に施行されることになれば、派遣労働者が増える可能性は高いだろう。そこで今回は派遣労働者の賃金トラブルに触れてみる。
派遣労働者は、派遣元によって給料が異なることはご存知だろう。派遣元が違う者同士がお互いの給料がいくらなのか気になるのは自然なことかもしれないが、派遣元によっては、給料を口外してはいけないという契約を交わしている。
もしもその契約を破り、賃金格差が発覚すれば、給料が低い派遣労働者はやる気を無くす可能性があり、最悪の場合、社内のムードが悪くなり、業務に支障が出るかもしれない。
そこで今回は、口外してはならないという契約を破り、派遣元から契約を解除されたら、不当解雇となるのかどうか、この問題について加塚裕師弁護士に伺った。
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世間一般では「男性から女性」に対する行為をセクハラ、「女性から男性」であれば逆セクハラと認識されているだろう。
しかし、1986年に施行された男女雇用機会均等法により、セクハラは「男性から女性・女性から男性・同性から同性」への行為、全てを該当すると定めたのである。つまり逆セクハラという言葉は、実は通常のセクハラと全く変わりがないということになる。
しかしここで、一つの疑問が生じないだろうか。それは、逆セクハラも、セクハラと変わりがないならば、セクハラ裁判と逆セクハラ裁判の判決も似たような結果となるのかどうかである。
この問題について、武蔵浦和法律事務所代表の峯岸孝浩弁護士に伺った。
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今月9日、千葉県立銚子商業高校の男性教諭(43)が、交通費を不正に受け取っていたとして懲戒免職の処分となった。
報道によると男性教諭は、途中の駅まで電車で通い、途中下車した駅から車で出勤し、車通勤であることを装っていたとのこと。不正受給は約4年間に渡り、ガソリン代や高速道路料金などの通勤手当として、およそ100万円を不正に受け取っていたようである。男性教諭は「生活費の足しにしていた」と話している。
さて今回は、交通費の不正受給やカラ出張、残業代の水増し請求など、職場で行われる可能性がある犯罪行為について、濱悠吾弁護士に伺った。
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近年、社会問題化しているブラック企業問題。これに対して厚生労働省は、全国の労働局に、5月18日から社名を公表すると発表した。対象となるのは残業が月100時間を超え、違法な長時間労働を繰り返す、比較的規模が大きい企業であるとのこと。
塩崎厚生労働相は「労働局長自らが、企業の経営トップに対して、全社的な早期是正について指揮・指導をするとともに、その事実を公表することとした」と発表した。
さて今回は、人件費を減らそうとするブラック企業が、労働者に無断で残業時間を改ざんしようとした場合にどんな罰則があるのか、また勤怠をデータで管理されていた場合、労働者としてはこのような事態にどう対策するべきかを鈴木翔太弁護士に伺った。
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労働条件の改善は、社員がそれぞれバラバラに要求しても中々実を結ぶことはない。それ以前に、一人で会社を相手に要求すること自体がとても勇気がいることだろう。しかし、その会社に労働組合があれば、会社と対等な関係で交渉する権利が保障され、問題解決の一つの手立てとなりえるのである。
今回はそんな労働組合について、作り方やメリット・デメリットなど様々な点について今西法律事務所の代表である今西隆彦弁護士に寄稿して頂いた。
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昨年、米Amazonがgoogleに転職した元従業員を、競業企業転職禁止契約に違反したとして、ワシントン州連邦地方裁判所に提訴した。ビジネスにおける情報戦に、非常に重きを置く米国では、この手の訴訟が多いようだが、米Amazonはこれ以外にも似たような事例で世間を賑わせた。それは今年の3月、なんと正社員だけでなく、短期アルバイトに対しても、退職後1年半は「競合他社」への転職をしないという契約にサインさせていたのである。(現在は撤廃したとAmazonは発表している)
同業他社への転職に限らず、同業の会社を立ち上げることを禁止する契約を「競業避止契約」というが、今回はこれがどんなケースにおいて有効になるかのかを、大木秀一郎弁護士に寄稿して頂いた。
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セクハラとパワハラを行ったものには、具体的な事案にもよるが、主に以下の刑罰が課される可能性がある。セクハラは「強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ罪、ストーカー規制法や軽犯罪法上の犯罪」。パワハラは「暴行罪、脅迫罪、傷害罪、侮辱罪、名誉毀損罪」。民事においては、それぞれ使用者や加害者に対し慰謝料等の損害賠償を請求できる可能性がある。
もしも自分がセクハラやパワハラの被害者となり、加害者を訴えようとするならば、その行為があったことを証明するのは被害者となるため、証拠は欠かせない。今回はその証拠を集めるにあたって、在籍中と退職後でそれぞれできること、また証拠を抑えるために敢えて誘うような好意をした場合にどうなるのかを尾﨑英司弁護士に聞いてみた。
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厚生労働省は15日、労働環境が劣悪な「ブラック企業」の中で、違法残業が複数の事業所で行われている大企業は、書類送検される前であっても、企業名を公表すると発表した。
以前であれば、是正勧告をしたにもかかわらず、それに従わず、書類送検した企業を対象としていたが、その適応範囲を広げたようだ。塩崎恭久厚労相は「名前を公表される企業の行動は今までと違ってくるはずだ」と述べた。
さて今回は、事業主として義務となる労働保険・社会保険の加入を怠っている事業主にどんな罰則があるのか、また実際にそういった立場で働く方が、保険未加入の状態で怪我などをした場合にどのような保障がされるのかを飛渡貴之弁護士に聞いてみた。
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「当社の社員は全員A型で几帳面なんですよ。仕事では細部にまでこだわって貰いたいんだけど、そういう意味でもA型の人に向いてるんだと思う。今まで何度かB型も採用してきたんだけど、みんなすぐに辞めちゃってね。で、おたくは何型?」ーー中途採用の面接で、まさかの血液型の質問。もしも自分がB型だとしたら、口が裂けても明かすことは出来ないだろう。ちなみに血液型による性格判断は、科学的には何ら根拠がないとされており、ブラッドタイプ・ハラスメント(ブラハラ)と呼ばれて、社会問題にまで発展している。さて今回は、面接において採用の判断材料とは無関係な質問することが、何かの問題になるかかどうかを川瀬裕之弁護士に聞いてみた。
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「なんだからよくわからないし、長いからもういいや」ーーこんな感じで利用規約に同意したり、誓約書や契約書にサインをしたことはありませんか?もしもそんな軽い気持ちでサインし、それが自分にとって不利な内容であったとしても、何か問題が起こってしまったら、もう後の祭りです。
今回は、弁護士が仕事だけでなく、普段のプライベートから気をつけている契約書や誓約書、ネット上での規約同意で気をつけているポイントをまとめてみました。寄稿して頂いたのは弁護士法人 川原総合法律事務所の代表である川原俊明弁護士です。
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「肥満は自己管理能力が低い」ーーアメリカではよく聞きますが、日本においても、同様の傾向があるようです。
あるアンケートによると「肥満と業務能力は関係があると思うか」に対して、38%が「大いに関係がある」、19%が「やや関係がある」、「業務によって異なる」は33%、 「能力と体重は関係がない」は8%でした(電子税金計算書サービス会社 ビジネスオンコミュニケーション実施 2009年6月 会社員1632人対象)。つまり「関係がある」と答えた人は全体の57%にも及んだのです。
今回は肥満であることが人事査定に悪影響を及ぼした場合、法的に問題がないのかどうかを星野宏明弁護士に聞いてみました。
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一般に、会社と従業員の関係は対等ではないと言われています。何故なら給料を払う立場である会社には、従業員が生活をしていく上で必要不可欠なお金の差配を握っている強みがあるからです。
もしも会社から不条理な要求をされた場合、「断ったら給料が下がる」や「クビにされてしまう」などの心配がでてしまうと、誰も会社に対してものが言えなくなってしまいます。そこで憲法28条では労働者に団結する権利、つまり労働組合を認め、労働法では争議権行使の一つとして、いわゆるストライキも行うことが可能です。
今回は、労働組合やストライキ、ブラック企業問題などに触れながら、中小・零細企業にとって最も恐ろしい問題となりつつある未払賃金の問題を、高橋和央弁護士に聞いてみました。
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昨年10月に自動車部品販売会社を経営する男性が、会社の資金を着服したとして、業務上横領の疑いで逮捕されました。男性は、放漫経営を従業員に指摘され、それをキッカケに社員と仕事をするのが嫌になり、会社をつぶそうと思ったとのこと。ちなみにこの事実が発覚したのは、同社破産の際の、破産管財人が、警視庁に告発したことによるものです。
今回はこのケースを元に、従業員は経営者に対して損害賠償請求が出来るかどうかについて触れていきます。
経営が嫌になった株式会社の代表取締役が会社を潰そうと画策し、会社の資金の大半を引き出し、私的に着服。その結果、会社は事業を継続できなくなり倒産。そして、それとともに労働者が職を失った場合、労働者は一体どうなるのでしょうか。井上義之弁護士に話を聞いてみました。
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「同じ仕事なのに、どうしてあの人より時給低いの?!」、「求人情報サイトを見たら、私と同じ会社の同じ仕事を、他の派遣会社では時給が100円高い!」ーー派遣社員であれば、必ず一度や二度、同様に感じたことがあるのではないでしょうか。
実際に大手のQ&Aサイトでもこの手の書き込みは跡が絶ちません。ちなみにそれらの書き込みに対しては、以下のようなコメントが目立ちます。
「他の派遣会社と時給を比べることはタブーです」、「仕事内容ではなく、生産性を評価されて時給が高くなってるのでしょう」、「派遣会社が搾取しすぎているのでは?」などなど。
さて今回は、同じ仕事なのに、派遣元によって時給が違うことが、何かの法律に触れるのかどうかを、労働問題に詳しい加塚裕師弁護士に話を聞いてみました。
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貧困ビジネスと聞くと、どんなイメージがありますか。恐らく多くの方が生活保護費を食い物にしたビジネスと考えるでしょう。そもそも、この『貧困ビジネス』という言葉を世に送り出したのは、社会活動家で、現在は法政大学で教授を勤める湯浅誠氏です。同氏によると、貧困ビジネスとは「貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」とのこと。
日本国憲法第25条では『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と明記されており、生活保護はそれを保障する制度の一つでもあり、貧困は克服しなければなりません。
今回はこの貧困ビジネスについて、実際に借金問題等を多数解決してきた法律の専門家の立場として、寺林智栄弁護士に話を聞いてみました。
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前回のコラムでは「結婚相談もOK?!個人の顧問弁護士が、一緒に泣いたり笑ったりできるそんな存在となりつつある?!」と題して、個人の顧問弁護士の現状を扱いました。今回は気になる、その費用について触れていきます。この先の人生において、「安心」が得られるとしたら、その費用は幾らが妥当でしょうか。今回も関根悠馬弁護士に話を聞いてみました。
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「君はまだまだ新米だ。スピードも遅く、成果も期待できない。だから、他の人たちが問題なくこなす仕事も、君に任せると必要以上に時間が掛かる。そうなると売上は上がらないのに、人件費だけ無駄に上がる。会社からも人件費も抑えるように言われているわけで、君もその点については理解してくれるだろう。一人前になるまでは残業時間を削らしてもらうよ」
素晴らしい成果を上げて、強烈なリーダーシップを発揮する上司。そんな上司は、他の社員からはむしろ肯定されており、だからこそ誰もそれについて意見を言えません。もっともらしい事を言って、相手を納得させたとしても、完全に労働基準法違反です。もしもこの上司や会社を労働基準監督署に報告したらどうなるのでしょうか。この問題について鈴木翔太弁護士に聞いてみました。
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