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先日、パナマ文書の問題が大きく報道されました。この文書により、多くの富裕層がタックスヘイブンを利用していることが明らかになったわけですが、その中で「きちんと日本で申告しているから問題がない」といった某大企業のコメントがありました。
日本の制度上、タックスヘイブンに子会社を持つ会社については、一定の要件を満たす場合、そのタックスヘイブン子会社の所得を日本の親会社の所得に合算して申告する必要があります。
このため、タックスヘイブンを利用しても、日本で申告をしていれば課税逃れを行っていないのだから問題がない、ということをこの企業は言いたいと考えられます。

2016年5月、取り調べの可視化を盛り込んだ刑事訴訟法の改正が成立した。元々この法改正は、えん罪事件防止を一つの目的としている。しかし、その可視化の対象は「裁判員裁判対象事件」と「検察独自捜査事件」のみとなっており、それは全事件のたったの3%に過ぎない。もしも自分がやってもいない事件の犯人だと疑われた場合、どのような自衛が認められているのだろうか。可視化対象の事件でなかった場合、例えば取り調べの際にボイスレコーダーを使用することは認められているのだろうか。森谷和馬弁護士に話を伺った。

いじめは子供だけでなく大人にも起こる。その代表が職場いじめだ。労働局は2015年度に寄せられた相談の内、「いじめ・嫌がらせ」に関するものが6万6556件もあったと伝えており、今や一つの社会問題になりつつある。そこで今回はそんな職場いじめにおいて、労働問題に取り組んでいる蓮見和章弁護士に記事を寄稿して頂いた。蓮見和章弁護士は職場いじめが訴訟にまで発展することは多くないと触れているが、今回はその中でも訴訟にまで発展するほどのケースにおける特徴を伺った。

税務調査を複数回受けている会社であればイメージできると思いますが、3年前の税務調査の時に何も問題にならなかった処理について、その後の税務調査で問題にされることがあります。前回は許されたのになぜ今回は許されないのか、といった疑問を持たれる方も多いと思いますが、社会常識の問題は別にして、国税としては全く問題がないと考えています。

法人税は貸倒損失に非常に厳しいのですが、その中で最も簡単に認められる貸倒損失として、形式上の貸し倒れというものがあります。
形式上の貸倒れは、以下の2つの要件を満たす債権についてだけ認められます。
(1) 売掛金、受取手形などの売掛債権→貸付金などについては認められません。
(2) 継続的な取引のある取引先に対する債権→固定資産を譲渡した場合の未収金など、単発的な取引先への債権については認められません。

「乳幼児ハーネス・迷子ひも」が賛否両論を呼んでおり、その意見は真っ二つに分かれている。一つは「犬の散歩のよう」、「昔は必要なかった。虐待のよう」という意見。もう一つは「子供の安全のため」、「何か起こってからでは遅い」という意見。
乳幼児ハーネス・迷子ひもをつける親の最大の目的は、交通事故の回避であるが、今回は子供が交通事故を起こした際の法的リスクを取り上げる。交通事故が最も起こりやすいのは交差点であるが、信号のない交差点で子供が飛び出して交通事故を起こした場合、そこには大人と子供とでは過失割合が異なるという。話を伺ったのは飛渡貴之弁護士です。

8月27日から28日かけて放送された日本テレビ系列『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』が物議をかもした。発端はNHK・Eテレが28日同時刻に放送した『バリバラ~障害者情報バラエティー~』で、24時間テレビを障害者を題材にした「感動ポルノ」であると批判したためだ。
今年の4月に施行された障害者差別解消法は、文字通り障害者の差別を解消することを目的としているが、NHK・Eテレが放送した同番組内では「障害者の感動的な番組をどう思う?」というアンケートに対して、「好き」と答えた割合が、健常者が45%に対し、障害者が10%しかなかったという。24時間テレビが障害者に対しての理解を深めるために作られた番組だとしたら、少なくともこのアンケート結果は不本意であると言わざるを得ないだろう。そこで今回は、改めて障害者差別解消法が作られた目的について、振り返ってみたい。話を伺ったのは中嶽修平弁護士です。

税務上、みなし贈与と言われるものがあります。これは、形式的には贈与ではないものの、実質的に贈与と見られるものをいい、このみなし贈与に該当すると、贈与税が課税されます。
みなし贈与はいくつかありますが、実務上最も多いことの一つに、同族会社の株主が自分が経営する同族会社に債務免除をした場合の、他の株主への課税があります。

先日の読売新聞に掲載されていた記事ですが、元国税のOB税理士が代表を務める税理士法人が脱税を行っていたため、税理士法違反による懲戒処分を逃れる目的で、その法人を解散し、同名の別法人を同じスタッフで作ったという事案があったようです。
別法人を作ったからと言って、実態としては同じ法人ですから、当然に処罰されるべきですが、現在の税理士法では、その処罰ができないというあり得ない現実があるようです。

大きな混乱が生じているマイナンバー制度ですが、税理士などの支払報酬などについて、支払先のマイナンバーを確認し、そのマイナンバーを記載した法定調書を税務署に提出する必要があります。
ここで問題になるのが、マイナンバーの提供を受けられない場合の取扱いです。制度に対する不信感が非常に強いですので、支払先によっては、マイナンバーの提供が受けられない、といった事態も生じると想定されます。

前回、粉飾決算をしているとなると、調査官が嫌がるという話をしましたが、調査官が嫌がることはすなわち税務調査のリスクが小さいことを意味しますので、税理士は粉飾決算に対して、それほどリスクがないと誤解する傾向があります。しかし、前回見たとおり、法人税においては、粉飾決算の修正をしない限り、粉飾決算によって過大に納付した税金を返して貰えませんので、粉飾決算をすると、それを解消する時に大きな問題に発展するリスクがあります。

資金繰りの都合上、中小企業においては、粉飾決算をする会社も見られます。会社の利益をかさ上げすることが粉飾決算ですが、税務調査において粉飾決算がある場合、調査官は残念な気持ちになります。
この理由は、売上の計上もれなど、利益がアップする間違いを発見するために税務調査が行われるからです。粉飾決算であれば、もともと利益をかさ上げしていますので、調査官が見つけたい利益を大きくする誤りが見込めないことが非常に多いですから、調査官としては残念に思います。

消費税の計算上、注意すべき取扱いとして、95%ルールがあります。これは、土地の譲渡など、消費税が非課税とされる売上が、全売上の5%を超える場合、消費税の控除が制限されることをいいます。消費税は、売上に対する消費税から、仕入先などに支払った経費に対する消費税を控除して計算されますが、95%ルールの適用があると、支払った経費に対する消費税の一部について、消費税の控除が制限されます。

「おまたせしました~、ご注文頂いた宅配ピザです!」「え?えー?!いやいや、頼んでないですよ!!」ーー頼んでもいないピザやお寿司が突然家に届いたら、誰もが驚くだろう。もしも心当たりが無ければ、驚き以上に恐怖を感じるかもしれない。
本人確認が行われない宅配ピザや出前寿司は、理論上このような行為が可能である。必要なのは送付先の住所と名前だけだからである。では何のためにこんなことをするのか。恐らくいたずらや復讐という可能性が高そうだが、実際に行為に及んだ場合、どんな罪に問われるのだろうか。星野法律事務所の星野宏明弁護士に話を伺った。

秋田県立能代松陽高に通っていた女子生徒(17)がいじめを理由に不登校になった後、転校した問題で、秋田県の第三者調査機関「県いじめ問題調査委員会」が先月の14日に報告書を公表し、いじめがあったことを認定した。
いじめ問題は、特に当事者は感情的になりやすい性質を持っているが、真剣に問題解決を考えるならば、まずはいじめがあったことを証明することが重要だ。何故なら、その証拠を元に、学校や教育委員会に訴えていくことになるからだ。そこでいじめがあったと認められれば、学校や教育委員会が問題解決に務めてくれる。では、その行為がいじめかどうかは、どのように認定されるのだろうか。この問題について清水陽平弁護士に話を伺った。

債権が法律上切り捨てられた場合には、その切り捨てられた債権について、貸倒損失が認められます。法律上切り捨てられた、という要件については、法人税の通達において、以下のいずれかの場合を言うとされています。

相続に際して大きな問題になることの一つに、遺留分があります。遺留分とは、一定の相続人に認められている、最低限相続できる財産の割合をいいます。例えば、愛人と本妻(子はなし)がいる被相続人について相続が発生した場合、遺言書で愛人に全財産を相続させることができますが、そうなると本妻は一円ももらえないことになり、本妻にとって酷な結果になることがあります。相続には相続人の生活の保障という意味もありますので、このようなことがないように、所定の相続人について最低限相続できる割合を定めているのが遺留分なのです。

あなたがとても大切にしているものが盗まれた。なんと盗んだ相手は友人だったことが判明。あなたはその友人宅に忍び込み、盗まれた物を奪い返す。実はこの行為、自力救済と呼ばれ、民事法上禁止されている。自力救済とはある権利を持つ者が、その権利を何者かに侵害され、法的な手段を取らずに、自らの力で権利の回復を行うことを言う。盗まれた自転車を発見して、そのまま乗って帰る行為も自力救済の一つとして禁止されている。そこで今回は自力救済の過去の判例について井上義之弁護士に話を伺った。

ニュースでも度々報道されている自動運転実用化。日本では、東京オリンピックに向けて、技術開発に力を注いでいるが、これによって私たちの生活はどう変わるのだろうか。
例えば、高齢者を対象にした自動運転は、病院や商店街の行き来に利用できるかもしれない。農業に従事する人にとっても農耕機が自動化されれば生産性は確実に上がるだろう。その他にもタクシーとバスの無人運送サービスなど、夢は膨らむ一方だが、最も解りやすい効果として期待されているのは交通事故の減少だろう。
日本損害保険協会の調査によると平成26年に発生した交通事故の半数以上が交差点で起こっているという。歩行者、自転車、車などが頻繁に行き交うからだろう。そこで今回は、信号がない交差点での車と歩行者の交通事故起の責任について飛渡貴之弁護士に伺った。

相続税の税務調査では、ダントツで名義預金が狙われます。相続税の申告においては、財産の評価が問題になることが多いですが、財産の評価はグレーゾーンが大きいため税務署が是正させることはなかなか大変ですし、何より国税職員は財産の評価に詳しくありません。このため、評価は問題にならない名義預金が税務調査のポイントになることが多いのです。