平成28年度税制改正では、セルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること)の充実を図るという政策目的から、医療費控除の特例として、スイッチOTC医薬品の購入金額について、所定の要件を満たす場合、所得控除を受けられるという制度が創設されました。
OTCとは(Over The Counter)の略であり、薬局のカウンター越しに売られる市販薬がこれに該当します。医師の判断でしか使用できなかった医薬品を、薬局で買えるようにしたのがスイッチOTC医薬品であり、この購入金額について所得控除を認めるというのが本制度です。
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「死刑になりたくて人を殺した」という動機で殺人を行う者がいる。秋葉原通り魔事件、土浦連続殺傷事件、心斎橋通り魔事件がそうだった。
土浦連続殺傷事件では「死刑を求める者に死刑を与えると死刑が刑として機能しない。強盗に金をやるようなものだ」と弁護側は減刑を求めていた。秋葉原通り魔事件では「被告は事件当時、心神喪失もしくは心神耗弱だった疑いがある。死刑判決は破棄されるべきだ」と主張していた。心斎橋通り魔事件は現在控訴中であるが、土浦連続殺傷事件と秋葉原通り魔事件のふたつは共に死刑判決となった。
本人の望むように死刑にすることが果たして良いのかどうかは別として、そもそもこの希望はどの程度考慮されるのだろうか。今回はこの問題について中島宏樹弁護士に伺った。
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最近の税務調査では、「このような取扱いは、過去からやっていますので、税金がかかります」であるとか、「全税務署でこのような取扱いをしていますので、何と言われましても税金はかかります」といった、行政の統一性を盾にして、納税者との交渉を打ち切ろうとする調査官が見られます。
この点、税理士の中にも「もう税務署は聞く耳を持ってくれない」と早合点される方が多く見られますが、私の経験談から申しますと、過去からやっているであるとか、全税務署でやっているなど、こんな話を税務署の調査官は基本知らないですから、非常に信ぴょう性の薄い話と思っています。
事実、このような指導を受けた納税者や税理士が、税務調査の交渉を頑張った結果、後日許された、という話は枚挙にいとまがありません。
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平成28年度税制改正では、不正常習者に対するペナルティーを強化するという観点から、過去5年以内に重加算税を課税された納税者について、同様に不正行為があれば、その際に課される重加算税を10%上乗せするという改正が実現しています。
調査官の経験を申しますと、不正行為を行う納税者は、喉元過ぎれば熱さを忘れるで同様の不正行為を行うケースが多いですので、このような改正も必要になると考えています。
この改正は、平成29年1月1日以後に申告期限が到来する税について適用されます。
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ある問題が起こった場合、誰だって争うことなく、円満な問題解決が出来るに越したことはないと考えるだろう。しかし、何度話し合っても折り合いがつかない、埒があかないとなれば選択せざるを得ないのが訴訟提起だ。つまり、訴訟提起は問題解決の最終手段である。
では、いざ訴訟を起こそうと考え、仮に実行したとしても勝訴のメリットがなにもないとわかっている場合はどうだろうか。この場合、そもそも訴訟すること自体やめた方が良いのだろうか。今回はこの問題について、訴訟以外にも選択肢があるのかどうかも含めて、安田庄一郎弁護士に話を聞いてみた。
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裁判を公開することは憲法で保障されており、基本的には誰でも傍聴することが可能だ。理由は簡単である。公正中立に裁判が行われているかどうかを、誰でもチェックできるようにするためである。この機能が働くことで、司法の独立が確保されているといっても過言ではない。しかし、なぜか「裁判の撮影」は禁止されている。イギリスでは2013年から、主に控訴審を扱う裁判所でのカメラ中継が開始された。きっかけはメディア各社や報道協会の働きかけだという。この目的は一つ、「裁判の透明性を高め、国民の司法制度に対する理解を深める」というものだ。裁判の撮影を認めることは、裁判の公開や傍聴の自由の趣旨に沿っているように思えるが、どうして禁止されているのだろうか。星野宏明弁護士に伺った。
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平成28年度税制改正では、税務調査の予告があってから、実際に税務調査がなされる前までに修正申告を出しても、加算税が原則として5%課税されることになりました。従来は、このような修正申告であれば、加算税はかからないとしていましたが、国税の考えによると、予告をしてから実際の税務調査前までに修正申告をして加算税を逃れるという悪質な行為を許さない、という本音があり、今回改正に至ったようです。この改正は、平成29年1月1日以後に申告期限が到来する税について適用されます。
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先日、電子メールも税務調査の対象になりうる、と申しましたが、この点に関連して、取引先と秘密保持契約を結んでいるような場合には、メールの開示を拒否できる、といった趣旨の記述も見られます。税務調査で調査官が配慮してくれることもありますが、この点建前としては守秘義務を目的に、調査官のチェックを断ることは、法律上は無理とされていますので、注意しなければなりません。
実際のところ、国税庁が公表しているFAQによれば、「業務上の秘密に関する帳簿書類等であっても~法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものです。調査担当者には調査を通じて知った秘密を漏らしてはならない義務が課されていますので、調査へのご協力をお願いします。」と説明されています。
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「店長、昨日入ったばかりの新人が出勤していません。電話してもつながらないのでバックれたみたいです」ーーアルバイトを雇うお店にとって、大きな悩みの一つである、アルバイトのバックレ。
この場合、シフトの穴を防ぐために、他のアルバイトが出勤数を増やす。この間、店長は新しいアルバイトの求人募集を再開。しかし中々見つからない新しいアルバイト。次第に、無理な出勤数で負担が増えた他のアルバイトが退職を決意。意を決して店長に退職を申し出る。すると、店長から一言。「辞めたら損害賠償請求するよ」と。
さてこのケース、脅しでなく、本当に損害賠償請求されるようなことは有り得るのだろうか。この問題について山崎佳寿幸弁護士に伺った。
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メディアで取り上げられることも多い詐欺事件。注意喚起のために、オレオレ詐欺やワンクリック詐欺、結婚詐欺など、その手口に由来したネーミングとなることでも有名だが、被害の額や規模を見聞きすることはあっても、被害者への対応などが報道されることは多くない。つまり、詐欺で騙し取られたお金が、被害者の元に戻ってくるのかどうかである。もしも加害者が既にそのお金を使ってしまい、手元に残っていなかった場合は泣き寝入りとなるのだろうか。今回はこの問題について荻原邦夫弁護士に伺った。
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先日、ヤフーの組織再編成が合法か否か争われ、国が勝訴した事例があります。この事例においては、その組織再編成が租税回避的なものかどうかが問題になりましたが、国税にとって有利な証拠として、節税を匂わす電子メールの存在があったと言われています。
日々のやり取りの中で、電子メールはコミュニケーションの内容が確実に記録に残ることもあり、安易な節税や脱税を見つけようとする調査官にとっては、税務調査において確実にチェックすべき内容になっているようで、日々のやりとりには注意する必要があると考えられます。
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不正取引に対しては重加算税がかかる、という話はよく知られていますが、単純なミスでも重加算税がかかるとされる間違いがあります。売上の脱ろうというミスです。
売上の脱ろうとは、ある事業年度において計上を忘れた売上につき、翌年度でも売上に計上されない、というミスをいいます。税務調査では、売上を計上すべき年度を間違える、というミスがよく見られますが、このミスであれば翌年度には売上として計上されます。いわゆる、期ずれというミスです。
売上の脱ろうは、期ずれとは異なり、翌年度でも売上に計上されないため見つからなければ永久に売上に計上されない可能性があります。このようなミスであれば、重加算税の対象になると、国税の通達に明確に書かれてあります。
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テレビをつけると、必ずどこかのチャンネルでグルメ番組が流れている日本。いくらんなんでも多すぎでは?と思わざる得ないその内容は、ニュースやドラマ、バラエティー、旅行、ドキュメンタリーなど多岐にわたる。しかし、そんな中でもグルメ番組の元祖といえば、美味しい店を紹介する番組だろう。
番組では、地元を代表する店、知る人ぞ知る穴場の店などを紹介し、視聴者を惹きつける。しかしグルメ番組はそれだけでは成立しない。では何が必要か。それはグルメリポーターである。各グルメリポーターの特徴と、少々極端とも思える賛辞が紹介する店を更に魅力的にする。恐らくこのコラムをご覧になった方の中にも、グルメリポーターと聞いて、何人か思い当たるタレントがいるのではないだろうか。
さて今回は、そんなグルメリポーターが番組に毎週レギュラー出演した結果、健康を害してしまったという設定で、番組や制作者に責任を問えるのかどうかを星野宏明弁護士に寄稿して頂いた。
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法人税の世界では、経費となる要件として、債務確定基準が設けられています。債務確定基準とは、各事業年度の末日までに、支払うべき債務が確定したものだけが経費になる、という考え方です。
例えば、広告宣伝などで業者に前渡金を払っても、それを払うだけでは経費になりません。実際に広告宣伝をしてもらっていないので、仮に業者が広告宣伝を行わなければ、その前渡金は不当に業者がお金を得たとして、取り返すことができるからです。一方で、業者がすでに広告宣伝をしたのであれば、お金を払わないとは言えませんので、債務が確定したと言えます。
債務とはすなわち借金ですので、相手からお金を請求されても断れない状況に至った段階で経費になる、というのが債務確定基準の考え方です。
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消費税の納税義務は、原則として前々期の消費税がかかる売上が1千万円超であるかどうかで判断しますが、納税義務があるかどうか、それは当期だけでなく、翌期も見る必要があります。というのも、当期は納税義務があり、翌期は納税義務が免除される場合には、特殊な計算をしなければならないからです。
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警視庁四谷警察署は先月21日、東京都新宿区四谷の路上にて、外国人風の男が、小学生の女の子のスカートをめくったと発表した。現場付近は、小学校だけでなく、中学校もあり、同署は地域の住民に注意を呼びかけている。
さてスカートめくりといえば、主に小さい男の子が行ういたずらである。では、もしも今回のような成人男性がスカートめくりを行った場合、具体的にはどんな罪に問われるかご存知だろうか。これについて星野宏明弁護士に話を伺った。
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日本人にとって、名字は幼い頃から慣れ親しんだものである。幼稚園や学校では、名字の五十音順で並べられ、出席番号が割り振られる。しかし現行の日本の法律制度では、結婚するとき、夫婦のどちらかの姓に統一しなければならないとされている。そしてそのとき、男性側の姓に統一されることが一般的だろう。一方、近年の少子化の影響で、一人娘や女兄弟のみしかいない家庭も増えてきている。そのような家庭のなかで、個人としての思い入れはもちろんのこと、由緒ある家系や珍しい名字を持つ家庭など、次の世代に名字を伝えたいと考える家庭も多いだろう。名字として家系を残す方法を、星野宏明弁護士に伺った。
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簡易課税など、消費税の一定の特例を受ける場合には、その受けようとする年度の前までに、所定の届出書を税務署に提出する必要があります。この届出書一枚で税金が大きく変わりますが、困ったことに適用を受けようとする年度の前までにその届出書を出し忘れる、という凡ミスが非常に多いのです。
このようなミスがあった場合の最終手段として、課税期間特例という制度があります。
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「過払い金の返金期限は今年まで。平成18年に最高裁で過払い金が認められて今年で丁度10年。過払い金が発生している人は、請求する権利が10年で消滅してしまうため、お手続きはお早めに」。
最近こういった広告を目にしたことはないだろうか。内容自体に間違いはないが、全ての過払い金が消滅するわけではないため、一部誤解を招く表現として疑問の声が上がっている。
ここ数年、過払い金返還の広告については問題視されることが多かった。広告主である法律事務所には慎重な対応を求めたいところだが、ここでは改めて過払い金を請求する権利が消滅する方とそうでない方について、塩澤彰也弁護士に伺った。
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